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CORNER STORE 大賀良平さ

「ファンになってリピートしたくなるモノを届けたい」

 

 第五回目は家具、雑貨、アンティーク、器、食品、アパレルなど、国内外の暮らしにまつわるアイテムを独自の視点でセレクトする「CORNER STORE」を営む大賀良平さん。選ぶときの感覚や気持ちを大切にしたいという思いから、ジャンルや流行、価格などにとらわれないボーダーレスな提案で、お客さんから厚い信頼を集めています。。

 お店をはじめる以前は、東京で雑貨のバイヤーとして働いていた大賀さん。仕事を退職し、子育てに良い環境を求めて奥さんの実家がある徳島に移住しました。実は義父の仕事を一緒にやることが決まっていたため、独立してお店をやる予定はなかったそうです。
 
 「心機一転とは思っていたのですが、10年以上携わっていたバイヤーの仕事がまたやりたくなって、オンラインショップならできると思いはじめました。店舗を構えることになったのは、お客さんから直接手にとって商品をみたいという声をいただくようになったのがきっかけですね。」
 
 2011年にオンラインストアをスタート。その2年後に実店舗をオープンしました。隠れ家のような場所でお店をやりたいという思いから、雑居ビルなどさまざまな物件を探している最中、沖浜とは思えないのんびりとした空気がながれる環境で土地と巡り合い、店舗を新築しました。現在は奥さんが接客を、大賀さんが仕入れや取引先のやりとり、SNSの発信を担当しながら、セレクトしたもの一つひとつを丁寧に紹介しています。選ぶ基準は“自分たちが使いたいモノ”です。

南側の窓から気持ちのいい光が差し込むスタイリッシュな店内。
 

 「雑貨は言うなれば生活に無くていいものですが、生活を豊かにしてくれるツールです。感覚的な部分ではあるのですが、一過性のものではなく長く使えるモノを選ぶようにしています。遊び心を感じられるモノであったり、ファンな気持ちがないと愛用できないと思うので、ワクワクしたり、使って楽しいモノを提案したいです。」
流行りのモノではなく、長く使うなかで気持ちが持ち上がる要素を大事にしている大賀さん。

 撮影時に行われていたのは、大谷焼の里、徳島県鳴門市大麻町で130年以上の歴史を持つ「矢野陶苑」から誕生した陶器ブランドSUEKI CERAMICSのイベント。新しい[f series]を中心に、普段から取り扱いをしている[standard series]を含め、数多くの器が並びました。
 
 一言では表現できない絶妙な色合いと、丸みのあるフォルムが魅力のSUEKI CERAMICS。シンプルでどんな料理にも合わせやすい器ですが、テーブルに置くと雰囲気があり、使うたびにハッとする表情を見せてくれます。


モダンな雰囲気の中に、どこか日本的な懐かしさも感じられるSUEKI CERAMICS。

 前職で国外へも買い付けに行っていた大賀さんは、日本ほどいろんなモノに出会える国は無いと言います。誰もが簡単に情報を入手でき、いろんなモノを購入することができる時代だからこそ、セレクトする意味や価値が大きくなっているのを感じているそうです。
 
 「グラスがほしいと思っても、無数の中から自分の欲しいグラスへたどり着くのは大変です。信頼のおける人がセレクトしたものの中から選ぶほうが時間もかかりませんし、お客さんは選択しやすくなる。一つひとつのモノとの出会いにワクワクしながらお買い物をいていただけるよう、自分の思いをのせて伝えられるように心がけています。」

 

 お店に並んでいるグラスは、店主が無数とあるグラスの中からセレクトしたモノ。たくさんの時間と手間を要してセレクトした、選りすぐりのモノと出会えるお買い物時間は、一期一会の連続であることを気づかせてくれます。
 
 「東京で仕事をしていたときはアイテムも多く、商品の入れ替わりも早かったので、お客さんまで提案できている実感がありませんでした。今は自分が語れるものしか置いていませんし、そういうモノじゃないとお客様にリピートしていただけないと思うんです。」

千葉県産の落花生と九十九里海塩、北海道産のてんさい糖で製造されている、濃厚な味わいと香ばしい香りが人気のピーナッツバター。

 

“大人のへアアクセサリー”をコンセプトに、世界中から集められたビーズやパーツを用い、一点一点ハンドメイドで制作しているMiOAのヘアゴム。ブレスレットとして使うこともできます。
 
 

 作家ものの作品や商品の中には、CORNER STOREオリジナル商品として別注しているモノも。その一つが大賀さんの出身、島根県に工房を構える「鳥ヶ丘製作所」制作のスタンド型コーヒーメジャーです。もともとスプンやフォークのスタンドシリーズはつくられていましたが、コーヒーメジャーが立てておけたら便利だと思った大賀さんがオーダー。収納場所に困らず、立てておくだけでおしゃれに見える人気アイテムです。
 
 「オリジナル商品は作家さんも新たな作品へのチャレンジできるきっかけとして楽しんでつくってもらえたらいいなと思っています。これを機に作家さんが他のお店にも提案してもらえたらうれしいです。」
 
 他にも、藍住町を拠点に機能的でスタンダードな仕事着を提案しているブランド「jockric(ジョックリック)」に、別注のぬいぐるみをつくってもらったりしています。使われなくなったぬいぐるみを解体し、洗いをかけ丁寧に縫い直して新しい命を吹き込まれた一点物は、個性的で何度見ても飽きないユニークな表情をみせてくれます。

「鳥ヶ丘製作所」のStand Coffee major。木の種類はケヤキ、キハダ、ブラックチェリーの3種類あります。

 

日本で一番美しい町と言われている徳島県上勝町をベースにした「jockric」のモノづくりプロジェクト第一弾のREBUILD TOY。

 

 地元のみならず、コロナ禍になる前は、関西圏から来るお客さんも少なくありませんでした。都会はたくさんのモノが溢れているけれど、わざわざ地方へ来て買い物をするのは、地元らしさがある個人店が都会に少なくなっているからなのかもしれません。
 
 「関西から徳島へ来て、いろんなお店を回られるお客さんからは、ワクワクしながら買い物ができると言っていただきます。これからもわざわざ来てくださるお客さんが満足できるお店でありたい。そのためには、一つひとつ選ぶときも、提案するときも、なるべく丁寧にしようと心がけています。そこにかけた熱量があるからこそ、自分の思いをのせて伝えられると思うので。」
 
 今後はオリジナル別注アイテムを増やしていきたいという大賀さん。ここでしか手に入らないモノがあるという付加価値は、お店の個性をより際立たせ、お客さんの買い物好奇心をくすぐるはず。地元のみならず、ファンになり、リピーターになるお客さんが多い裏側には、提案するモノへのゆるぎない熱量がありました。

 
 

 最後に、どんなお家に住んでいるのか聞いてみました。

 新築を建てて住まわれている大賀さん。生活していく中で「こうしたい」、「ああしたい」が出てくるのを見込んで、内装は極力シンプルにしたそう。子どもたちの成長に合わせてレイアウトを変えながら、心地よく住まわれています。お気に入りの場所は家族が集まるリビングダイニング。片付けが大変になるので極力モノを置かないようにしながら、店舗で紹介している日用品や食品を使っているそうです。自分たちが使いたいモノ、ファンとして愛用しているモノをお客さんに届ける。そのシンプルでまっすぐな姿勢以上の説得力はないのかもしれません。
 
  
 
さて次回は、

大賀さんからのご紹介は、
1Fでしっかりと食事が楽しめるカフェを、2Fでファッション雑貨や生活雑貨のセレクトショップを営む「THE MORNING」のオーナー中野彰博さんです!