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Plain Table 藤川博文さん

「ずっと大切に使いたい、暮らしに寄り添うものを」

 

第三回目は、「カリモク60(ロクマル)」の家具や作家ものの器、レディースの日常着など、衣食住にまつわるものと出会えるセレクトショップ「Plain Table」の藤川博文さんにお話を聞きしました。

 藤川さんが「Plain Table」をオープンしたのは2005年。お店をはじめる以前は、カリモク家具株式会社の営業マンとして大阪、兵庫、千葉など全国を飛び回っていました。
 
 「平日は家具店などの得意先に営業、土日は店舗で販売をしていました。売り場づくりにも携わるのですが、暮らしをイメージできるよう、家具に合わせてお皿など小物を探してディスプレイを考えているうちに、こういうことを仕事にしたいと思うようになって。それがきっかけで暮らしを提案できるようなお店やろうと決めました。」
 
 12年勤めた会社を退職し、今のお店から歩いて5分ほどのところあった、徳島環状線の1本西側の通り沿いにお店をオープン。シンプルで飽きのこないデザインの器やグラスなど、時代に左右されないセレクトでお店の認知度やお客さんとのつながりを広げていきます。そして、3年と少しが過ぎたある日、近所の「とよとみ珈琲」のマスターから声をかけてもらったのを機に、コーヒーショップの隣にある家具工場だった倉庫を改装し、移転することになりました。

1Fには「カリモク60」シリーズの家具や
作家ものの器が並びます。
 

 「ちょうど『カリモク60』の家具の取り扱いができるようになったころで、広い場所を探していたんです。オープン当初からお店に置きたかったのですが、3回断られました。カリモクで働いていたとかは関係なく、取り扱い店舗を決める基準になるのが10年間同じものを売り続けられるかということ。そこを審査されるので、時間がかかりましたね。」
 
 4回目の交渉で念願の「カリモク60」の正規販売店として認められ、移転先で新たなスタートをきった藤川さん。今では四国一の展示数を誇り、他県からお客さんが来ることも少なくありません。

「カリモク60」の展示販売スペース。
 

 「カリモク60」は1960年代からカリモク家具が作り続けているデザインをそのままに復刻したものと、今の時代に添うものに再編集したシリーズ。品質、デザイン性、耐久性を兼ね備えた、老舗国産家具メーカーのクオリティは、幅広い世代から支持されています。そんな藤川さんも「カリモク60」シリーズのファンの一人。カリモクの元営業マンが惚れ込む理由をお聞きしました。
 
 「カップヌードルやかっぱえびせんと同じで、古いとか新しいとかの概念に当てはまらない、普遍的なところです。時代が変わってもスタンダードであり続けられるデザインは、世の中に決して多くありません。1960年代の日本はまだまだ畳の部屋が多かったので、和室とも相性がいいデザインになっているのも『カリモク60』ならではだと思います。」

藤川さんも自宅で愛用している
「カリモク60」のKチェア2シーター。
 

 さらに藤川さんが惚れ込むもう一つの理由が、部品交換ができるところ。「カリモク60」シリーズは不具合がでても全てのパーツを交換でき、椅子のシートも張り替えが可能です。お客さんの中には部品を交換しながら長く愛用されている方もいらっしゃいます。
 
 「今修理の注文を受けてお預かりしているものの中に、お父さんから譲り受けた1970年代に購入した『カリモク60』の椅子があります。こういう家族のストーリーと出会える商品を取り扱えていることがうれしいですね。」
 
 父から次の世代に受け継がれていくその椅子の背景には、たくさんの物語や思いがあります。お金でははかれない、時代を超えて価値あるものへと育まれていく椅子と暮らす日々。そこにはきっと、ものが溢れる今の時代に大切な心が培われていくはずです。

 
 

2020年12月に開催された 陶芸家・大野七実さんの個展。
穏やかな色調と風合いの陶器は、日常のなかですっと手が伸びるやさしさがあります。
 

 1Fには倉敷市や堺市で開催されるクラフトフェアへ足を運んだのを機にお付き合いがはじまった、作家ものの器やガラス工芸品、木工作品なども並んでいます。オープン当初はメーカーのものをメインにセレクトしていましたが、引っ越しをしてからは作家ものが増えたそうです。器好きな藤川さんは、作家さんと話をしているうちに仲良くなり、自然な流れで取り扱いがはじまることが多いとか。今はコロナのため作家さんの在店はできませんが、定期的に個展も開催しています。
 
 「私が好きな器はシンプルだけれど手作り感があるもの。例えば釉薬をムラにかけている、温かさを感じられるものです。そういう手作り感のあるものが、お客さんの暮らしに寄り添うことができると考えています。」
 

 
 

  持っているアイテムと組み合わせやすいシンプルな洋服は、ワードローブに加えるとコーディネートの幅が広がります。

 

 さらに2Fには、パートナーの山崎恵子さんがセレクトする、レディースの日常着やさりげなく彩を添えてくれるアクセサリー、ハンドメイドのバッグなどが並びます。素材やフォルムにこだわったシンプルな洋服は、見て、触って気持ちがふわっと持ち上がる、日々の暮らしが心地よく過ごせるアイテムばかり。

 お花の生けかたや小物づかいなど、センスが光るディスプレイも注目したいところです。部屋のインテリアの参考に切り取りたくなるコーナーがあちこちにあり、ついつい時間を忘れて長居してしまいます。

 
 

 藤川さんはトレンドを追いかけるのではなく、愛着を持つことができるものを提案しています。不安が多い今の時代、気持ちが落ち込む日もあるけれど、扉を開くと迎えてくれるのはずっと大切に使いたい家具や器、洋服たち。「Plain Table」はささやかな日々の暮らしに、楽しみやよろこびとなって寄り添ってくれるものと出会うことができるのです。
 
 最後に、藤川さんがどんなお家に住んでいるのか聞いてみました。
今住んでいるお家で使っているソファは、もちろん「カリモク60」。Kチェア2シーターの愛用歴は10年以上になります。摩擦に強いシートは飼っているネコちゃんがいたずらをしても今のところ破れたりすることはなく、全くへたっていないそう。使い続けることで分かったことは、「カリモク60」の魅力。藤川さんが伝える言葉に共鳴するお客さんが増えるのは、言わずもがなです。
 
 
 
 
さて次回は、

藤川さんからのご紹介は、
暮らしが楽しくなる雑貨やアートと出会えるお店
「cue!」のオーナー青木将さんです!